未来の乗り物、ホンダ「UNI-CUB(ユニカブ)」の世界初の一般向け試乗会参加レポート

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先日「Miraikan × Honda UNI-CUB実証実験&試乗会 presented by WIRED」に参加して、ホンダの「UNI-CUB(ユニカブ)」に乗ってきました。

SEOもウェブマーケも全く関係ありませんが、世界初の一般向けの実証実験・試乗会とのことで、貴重な経験をさせて頂きましたのでレポートしたいと思います。

UNI-CUB(ユニカブ)とは?

ホンダといえば、自動車やバイクなどを展開するグローバル企業ですが、そのような商用商品の他に「技術は人のために」という創業精神のもと、新製品の創造や技術の進化に挑戦しています。

その中で、人を知るための研究としてヒューマノイドロボット研究を一つの柱とし、人間の機能を工学的に実現すべく研究を進めています。

その一つの成果が「ASIMO」です。
そしてASIMOで培った諸技術を応用して、人の様々な機能の具現化に取り組み、その技術と応用製品群を「Honda Robotics」と定めています。

UNI-CUBは「Honda Robotics」の製品群の中の1つで、「人と調和する新たなパーソナルモビリティ」として開発された製品です。

unicub

UNI-CUB(ユニカブ)開発に込められた思い

実際のUNI-CUBの実証実験&試乗に先立ち、WIRED編集長の若林さんと、UNI-CUB開発責任者の末田さんのトークセッションがありました。

プレゼンをする末田さん
末田さん

人と調和する新たなパーソナルモビリティ

「少しでも暮らしやすいが社会が出来れば」という思いから「人と調和する新たなパーソナルモビリティ」として開発されたのがUNI-CUBです。

「人と調和」とは2つの意味があります。
1:乗る人とUNI-CUBとの調和
2:周囲とUNI-CUBとの調和

前者は、意のままの簡単な操作が出来るか、両手が自由に使えるかといったこと、後者は、その空間の中に人とたたずむことができるか、周囲に対する配慮がされるか。そういったことが意識されているそうです。

具体的には、次の5点に配慮した開発が進められました。
1:足がすぐにつくこと
2:手が自由であること
3:第三者にぶつかっても危害を加えないこと
4:空間にたたずむことが出来ること
5:人に毛嫌いされないこと

想定利用空間は、空港、水族館、図書館、ショッピングセンター、博物館、などのようですが、実際にはこれから様々な場で実験が行われるのだと思います。

実はセグウェイよりも前に開発されていたパーソナルモビリティ

ガソリンや電気といった外部動力を利用しない乗り物としてはセグウェイが有名です。
セグウェイは、2000年に正体不明の乗り物としてセンセーショナルなデビューを果たし、2003年に一般販売が開始されました。

実はホンダも同様のものを開発しており、しかも1989年には開発は完了していたそうです。しかし二輪タイプでは人の生活に調和せず、ダメだと考えており、いかに暮らしの中で使えるものにするか、研究を続けていたそうです。

倒立振り子の原理(利用原理自体はセグウェイト同じ)を利用した一輪タイプの研究を進め、1989年から20年を経た2009年に、パーソナルモビリティの試作機となる「U3-X」を、モーターショーで発表しました。
unicubの一つ前

そして「U3-X」の次バージョンにあたるのが、このイベントで試乗させて頂いた「UNI-CUB」です。
ユニカブ

さっそく乗ってみる、、、前に、末田さんにいろいろ聞いてみた

トークセッションの後、場所を移動してUNI-CUB試乗会です。

さっそく乗ってみる、、、その前に、ちょうど近くにUNI-CUB開発責任者の末田さんが近くにいらっしゃったので、興味本位でいろいろと聞いてみました。

セグウェイトの違いって何ですか?

セグウェイトの違いについて、技術的な部分、乗り心地の部分を教えてもらいました。

技術的には次の2点です。
1:旋回する必要がない。自然に斜めにも進む。
2:地面が斜めの環境でも問題なく使える。

まさにここが二輪ではダメで、一輪にこだわった部分だそうです。

確かにセグウェイは、基本まっすぐにしか進みません。進みたい方向にその場で旋回して、進む方向を決めてからまっすぐ前か後ろに進みます。

「人間だって斜めに歩けますよね。だからUNI-CUBでも斜めに進むようにしたんです」と末田さんは言います。

倒立振り子の原理自体は、確かに地軸に対して垂直を保つのですが、物理的に二輪だとどうしても地面の角度に影響されます。その結果二輪では、垂直であるように、乗る人間が意識的にバランスを取る必要があります。
対して一輪だと、なぜそうなのかは私の知識では理解できないのですが、UNI-CUB自体が地軸に対して垂直を保ち、人間は地面の角度を意識せずに乗れるのだそうです。

乗り心地的には、次の2点がセグウェイト大きく違います。
1:手が自由な状態で乗れる。
2:乗り物に乗る感覚ではない。(いざという時すぐに降りられる)

セグウェイだと、所定の位置に乗って、ハンドルを握る必要があるため、確かに乗り物に乗っている感覚です。
ただこれだと、暮らしにとけ込むことが出来ず、そのため1989年以降も一輪にこだわった開発を続けたそうです。

なんでセグウェイって販売できたんですか?

セグウェイちっくな二輪の乗り物は、既に1989年に開発完了していたのなら、なぜ2000年代に入ってからセグウェイが販売できたのか気になりました。

聞くに、二輪側輪に関する特許は、当時日本では取っていたのですが、アメリカでは取っていなかったのだそうです。
その結果、セグウェイはアメリカで問題なく販売されました。

素人目にはもったいないなあ、と思うのですが、当時から二輪側輪ではダメだと考えていたそうです。

どうやってUNI-CUB開発チームを作ったんですか?

私自身、研究開発型(特に基礎研究)の環境にいたことがないため、どうやってUNI-CUB開発チームを作ったのか気になりました。

聞くに、最初から明確な製品のイメージがあったわけではなく、こういうことがやりたい、というビジョンがあったそうです。

そのビジョンに共感する人が社内で手を挙げ、その上で個々人の専門研究分野や得手不得手を勘案し、選抜するような形でチーム編成をしたそうです。

ホンダ公式サイトを見ると「HONDA Philosophy」というのがあり、「夢へのチャレンジとその実現で、世界に喜びと感動を」とあります。

それを地でいくようなチーム編成ですね。

ちなみに各要素技術は、例えば重心を取る技術はASIMOと同じもの。そういったいくつもの基礎技術の組み合わせの結果として、UNI-CUBという一つの形になっているそうです。

UNI-CUBを作ろうとなったきっかけって何ですか?

「こういったものがあったらいい」

これが発想の発端だそうです。

何かしら世に存在する課題や、誰それのニーズに対して開発するような課題解決型ではなく、こういったものがあったらいい、こういうのできないかな、こういう世界が出来ないかな、そういうのが発想の発端だそうです。

その上で、日本だったらこうかな、アフリカだったらこうかな。そういったところを起点にイメージしているそうです。

こういった思想は、おいそれと色々な会社が真似できるものではないですし、創業者亡き今でもこのような取り組みが出来るのは、ホンダのDNAが成すものなのかなと感じました。

で、UNI-CUB(ユニカブ)に乗ってみました

ホンダ技術者の簡単な乗り方レクチャーの後、乗ってみました。

こっちに行きたい、と思ってください

レクチャーといっても、UNI-CUBに座ってください、まっすぐ座ってください、足を(足をのせる部分に)のせてください、こっちに行きたいと思ってください、くらい。

セグウェイは、いきたい方向に重心をかけて移動するので、UNI-CUBも同じかなと思い重心を移動させたのですが、あれ、イマイチ思ったとおりに動きません。

ですので、ホンダの方が「こっちに行きたい、と思ってください」と言うとおり、あんまり余計なことは考えずに、いきたい方向を見てそっちに行きたいと思ったら、、、なんと動く!!

いったん要領がわかったら、もう移動は思うがままでした。
前にも行けるし斜めにも行ける。早く進もうと思ったら早くなるし、止まろうと思ったら止まる。
(真横への移動、斜め後ろへの移動は、ちょっと意識して重心をかける必要がありました。まあ人間、普段そういう動きはあんまりしないのですが。)

乗り物に乗っているのに動かそう(重心移動)としなくても動くため、私自身の常識と違い、最初は若干の気持ち悪さも感じるも、すぐに体とUNI-CUBとの一体感を感じ、まるで自分の一部が自動化されたような感覚でした。
モノに乗っている感覚は薄かったです。

UNI-CUB の動画:

自身がこれまでに体感したことがない乗り心地は、何とはなしに非常にワクワクするものでした。

試乗後に再度ホンダ技術者に聞いてみました。なんで動くんですか?

こっちに行きたいと思ったから進むわけではないはずだ、そう思い、試乗後にホンダの技術者に聞いてみました。

人間は、歩くときに足を前に出しますが、ただ足を前に出す動きだけでは歩けません。その場で足をまえに出すだけです。
歩くためには、①まず前に進むという意思があり、②無意識に重心移動し、③意識的に重心移動し、④足を前に出す、というプロセスを繰り返す必要があります。

セグウェイは、意識的に重心移動した結果に対してセグウェイが進みますが、UNI-CUBは、意識的な重心移動の前の、無意識レベルの重心移動を察知して、並行を保とうとして移動するようです。

上記のプロセスに当てはめると、セグウェイは③に対して反応し、UNI-CUBは②に対して反応するようです。

この違いがあるからこそ、私自身試乗した際に、自身とUNI-CUBの一体感を感じ、これこそが「より人間に近いようなもの」なのかな、と感じました。

UNI-CUB(ユニカブ)開発チームに対して思うこと

トークセッション時、またその後UNI-CUB開発責任者の末田さんの話を伺いましたが、(年長者に対して大変恐縮ながら)やんちゃで無邪気な子どものような表情をする方だなあと感じました。

『「惚れて通えば千里も一里」−−− 好きなことにとことん打ち込む。
これが、本田の生涯を貫く縦糸であり、本田イズムの原点である。』

実用性と創造性を調和させる創意工夫をもって、独創技術を追求され、時代のニーズと大衆の欲求を先取りする先見性をもって、是非日本から良品や新しい世界観を世界に発信して頂きたいなあと思います。

後日感想: UNI-CUB(ユニカブ)は、何に使われるのだろうか?

実証実験&試乗会の後、ワクワク感は残りつつも、一つ違和感が残っていました。

それはUNI-CUBの想定利用シーンです。
もちろんUNI-CUBは研究段階で、今後様々な実験を続けるのだと思いますが、とはいえ「空港、水族館、図書館、ショッピングセンター、博物館」ではなさそうな気がしていました。

以下、UNI-CUB実証実験&試乗会とは関係ない、清水個人の勝手な見解です。

セグウェイの利用シーン

セグウェイの実用シーンは、海外で数度見たことがあります。
サンフランシスコの空港でセグウェイに乗った警官(セキュリティの人?)、パリの市内観光など。ブダペストでも、市街地でセキュリティの人?が乗っていました。

セグウェイは現状の用途に照らすと、乗り物で良いですし、自然な動きをする必要もないのだと思います。むしろ、コントローラブルでシンプルな方が良いのだろうと思います。
セグウェイは、健康な方が何かしらの目的を持って、「効率化のために使用するもの」と感じます。

トヨタのWinglet(ウィングレット)も、多分基本的にはセグウェイと同様だろうなと感じ、極めてファンクショナルなものな気がします。

ウィングレット画像
ウィングレット
(トヨタの公式サイトでWinglet見当たりませんでした。どうしたのでしょう。)

トヨタのパーソナルモビリティ i-REAL(アイ・リアル)

トヨタのパーソナルモビリティといえば、i-REAL。
2005年の愛知万博で、未来の乗り物として注目されたi-unitの進化系(i-unit → i-swing → i-REAL)です。
アイリアル

i-unitは実物を見たことがありますが、その時感じたのは、「体全体を守る移動のための乗り物」だということ。

高齢化が進む社会において、杖や手押し車の機能を拡張するようなものかなあと感じました。

日産のニューモビリティコンセプト

ホンダ、トヨタとくればやはり日産が気になります。
日産はどうやら「パーソナルモビリティ」という言い方はしておらず、新しいモビリティを提案しています。
日産新しいモビリティ

実物を見ていないのでフェアではありませんが、公式サイトを見る限り「一人で乗る車」であり、高齢者や単身者向けの「自動車」だと思います。

ではUNI-CUBは?

いくつかのパーソナルモビリティを見てみると、「空港、水族館、図書館、ショッピングセンター、博物館」は、その単語だけを見ると、セグウェイや他のものでも問題ないのではないか、、、と思えるのが、違和感の理由かなと思います。

ただの移動なら、自分との一体化を感じる必要もなさそうで、無意識に動ける必要もなさそう、、、

UNI-CUBは、乗り物というよりも、むしろ「人間の一機能の拡張であり代替えかな」と思いました。

車いすや松葉杖の代替えであり、ベッドから自動車の間をつなぐものであり、
先天的また後天的に、人としての移動能力に不具合をもつ方のものなのかなあと、勝手ながら感じました。

「メガネがなかった時代、近視の人は障がい者」(参照記事:Greenz記事
メガネが視力の拡張を行うことで、目の悪い人も暮らしやすくなったわけですが、
UNI-CUBもそういう方向性の用途があるのかなと思いました。

終わりに

今回のUNI-CUB実証実験&試乗会には、WIREDの一般応募から申込みました。またWIRED経由以外に、日本科学未来館の友の会でも募集されたそうです。

今後も改良を続けながら実験や試乗会も行うようですので、興味ある方はホンダ公式サイト日本化学未来館、友の会をチェックしておくとよいのではないでしょうか。

評論家の方は、日本の製造業は云々と言いますが、UNI-CUBのようなものが開発される技術力、またビジョンは純粋に凄いなと思います。

10年後20年後に、具体的なシーンにてUNI-CUBのようなものが使われ、やっぱり日本は凄いよねと世界に言われるよう、頑張って頂きたいなと思います。

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