グロースハックに学ぶSEO&コンテンツマーケティングの体制作り

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多くのSEO担当の方から、体制づくりについて相談を受けます。コンテンツがSEOで重要になり、体制づくりの問題が大きくなっているようです。今回は、SEOやコンテンツマーケティングの体制づくりについて、グロースハックの視点で考えてみます。

以前、USのGinzamarketsのブログポストを翻訳した時にも書きましたが、商品のコモディティ化に伴い、カスタマーエクスペリエンスといった付加価値での差別化が重要になる中、カスタマーエクスペリエンスに基づいたマーケティング組織への再編が進んでいくと言われています(ブログポストはこちら)。

カスタマーエクスペリエンスをベースにしたマーケティング体制
カスタマーエクスペリエンスをベースにしたマーケティング体制

この再編には、もちろん、マーケティング部門とIT部門など部門間の連携も含まれます。しかし、アクセンチュアの調査(2014 CMO-CIO Alignment Survey(CMO-CIO調査2014))で、確かにマーケティング部門、IT部門ともに連携の必要性は感じている一方、実態としては連携がうまくできていない状況にあり、特に日本企業はグローバル企業に比べて遅れていると報告されています。

部門連携のグローバル企業と日本企業のギャップ
日本企業のマーケティング部門とIT部門の連携は遅れている
出所:アクセンチュア2014 CMO-CIO Alignment Survey(CMO-CIO調査2014)

SEOの狭い領域でも連携の問題が起きている

マーケティング部門とIT部門の連携については、SEOやコンテンツマーケティングといった限定された領域でも、同じ問題が起きていると感じています。URLやサイト構造、テンプレートの設計などが、SEO的かつユーザービリティ的に良くない仕様になっている場合の多くは、ウェブサイトの初期構築時に、SEO担当とIT部門の連携がうまくなかったためであることが多いかと思います。

SEO担当とIT部門だけでなく、SEO担当とコンテンツ制作担当、リスティング広告の担当など、更に狭い領域内でも、連携がうまくいっていないケースもあるかと思います。検索ユーザーのニーズやtitleタグなどの使い方を気にせず、コンテンツを作ってしまっていたり、SEO担当とリスティングの担当が、それぞれのパフォーマンスを知らずに、個別に最適化してしまっているなどというケースは、よく聞きます。

グロースハックをSEOやコンテンツマーケティングの体制作りに活かす

「グロースハック」という考え方があります。グロースハックとは、その名の通り、サービスのグロース(成長)にフォーカスした考え方やそれにもとづいた一連のテクニック群のことで、Dropbox、Twitter、Facebookなどでも使われたということで有名です。「グロースハッカー」というグロースハックを専門とする職業も生まれています。

グロースハックは、スタートアップでしか使えないものかというとそうでもなく、企業のマーケティング部門やSEOの体制作りにおいても役立つ考え方やノウハウだと思います。グロースハックの考え方やノウハウの内、私が、SEOやコンテンツマーケティングの体制作りに活かしやすそうだと思う点をまとめると以下の3つになります。

  1. 業務範囲にこだわらない施策
  2. シンプルなマーケティングモデルによる共通認識作り
  3. PDCA回数(学び)の最大化

以下で1つずつ説明していきます。

1,業務範囲にこだわらない施策

グロースハッカーは、キャンペーンや広告を打つだけではなく、成長に必要とあれば、Product自体の改善も行います。自分の得意な専門領域は持ちつつも、サービス成長のためであれば、業務領域に縛られず仕事をします。

有名な例では、初期のホットメール(Hotmail)が、メール文面の下部にホットメールのことを紹介する簡単な文章を自動で入るようにし、メール送信の度にサービスの紹介がされ、ユーザー獲得に非常に貢献したと言われています。これは、サービスの中にサービスが広がるプロモーションの仕掛けを組み込んだ例になり、通常、マーケティング担当が行うことと、サービス開発を行うことの両方にまたがる施策と言えます。

こういった担当部門をまたがった取り組み方は、SEOにおいても重要です。SEO担当は順位チェックや要件定義だけをやっているよりも、必要とあれば、コンテンツ制作や開発にも関わっていくことで、理想的なSEOの施策を積極的に実現していくことができます。それぞれの専門性を尊重しつつも、言うべきことは言うという進め方ができているチームほど、改善が早いように思います。

そうういった意味では、SEO担当は、SEOの知識だけでなく、チームビルディングやプロジェクトマネジメントのノウハウも必要になってきているのかもしれません。

2,AARRRモデル

グロースハッカーは、シンプルなマーケティングモデルをチームで共有し、方向性を合わせてグロースを目指します。代表的なものとして当社Ginzamarketsの出資元でもある500StartupsのDave McClure氏の提唱するAARRRモデルがあります。それぞれ、Acquisition(獲得)、Activation(利用開始)、Retention(継続利用)、Referral(紹介)、Revenue(収益化)の頭文字を取っています。

AARRRモデル
AARRRモデル

このモデルを自社サービスに合わせて指標を設定しデータを集計し、Acquisition(獲得)に始まり、Revenue(収益化)に至るまでのプロセスで、どこにボトルネックがあるかをデータで可視化し、チーム内で共有します。AARRRモデルは、SEOやコンテンツマーケティングにおいて、もっと注目されても良いなと思っています。

コンテンツマーケティングに取り組んでいる、あるいはこれから取り組もうとしている会社の方からよく伺う課題として以下の様なものがあります。

  1. 集客はできたが収益化につながっていない。
  2. コンバージョンから遠い潜在層を集客することを社内が理解してくれない。

1はAcquisitionだけを考えて取り組んでしまっているケースで、幅広いキーワードに対して、まんべんなくコンテンツを作って、トラフィックは増えたけど、コンバージョンは一向に増えないというのも、このケースです。グロースハックでは、Retentionが非常に重要視され、継続的に利用してもらえる仕組みを先に作ってから、新規ユーザーの認知をガツンと取りに行くという考え方をします。どのページ、どのキーワードの順位を向上させれば、売上につながるかを理解した上で、そこに集中して、SEO対策を行うことで、売上に直結するSEOやコンテンツマーケティングを行う事ができます。

2は逆にRevenueだけが重要視されてしまっている場合で、コンバージョンに直結するリスティング広告だけに偏重してマーケティングを行っているために、効率は非常に良いけど、全体のコンバージョン数は、全然増えないというようなケースです。A→A→R→R→Rの順にユーザーや顧客は検討や体験を進めるため、最後のRevenueを得るためには、その前のプロセスに対する施策も必要であることを社内で理解してもらう必要があります。

必ずしもAARRRモデルを用いる必要はありませんが、シンプルで理解しやすいマーケティングモデルを共通認識として持つことで、メンバー間で認識を合わせることができ、更にモデルに合わせた指標を設定し、状況をデータで可視化することで、成果にフォーカスした、業務範囲にこだわらない施策が行いやすくなります。

3,PDCA回数(学び)の最大化

グロースハックでは、学びを非常に重視します。グロース(成長)という言葉から、「ユーザー獲得」や「コンバージョン」といった響きがするかもしれませんが、サービスリリース初期はあえて「スケールしないことをする」ことが重要と言われ、特に、ユーザーの理解を深めることや、少数の熱心なユーザーを獲得するといった、泥臭い施策が重視されます。

グロースハックやリーンスタートアップで有名な「Product-Market-Fit(大きな市場を見つけ、市場の需要を満たせるプロダクトが提供できる状態にすること)」という考え方も、すぐに売上を上げるという考え方ではなく、顧客や市場についてまず深く学ぶということでもあります。

マーケティング界隈で良く使われる「PDCAサイクル」という言葉も、グロースハックでは「Build(開発)-Measure(計測)-Learn(学習)」になり、PDCAのCは「確認/振り返り」の意味ですが、Learnという、より「学習」が強調された言葉が使われます。したがって、グロースハックは、初期フェーズでは、施策は、「何を学ぶのか(いくら売るかではなく)」、「どれだけたくさん学べるか」という視点で設計されます。

build-measure-learn
Build-Measure-Learnサイクル

こういった方法を実行するには、経営者や事業責任者の理解が必須です。経営者や事業責任者の理解がなければ、担当者レベルでは、まずは売れる商品作りや勝ちパターン作りを優先した方が良いと分かってはいても、上からのプレッシャーで目先の収益化に走らざらなくなってしまいます。小さな成長で終わってしまわないよう、経営者や事業責任者の方は、グロースハックのProduct-Market-FitやBuild-Measure-Learnを頭の隅に置いておいていただけたらと思います。

このことは、コンテンツマーケティングやSEOでも効果的な取り組み方です。どういったコンテンツを作れば、どこまでサイト構造を整理すすれば、SEOやコンテンツマーケティングで成果を出せるのかを見つけるまでに、試行錯誤を行うための時間が必要です。

特に、SEOで対策キーワードを広げる施策や、潜在顧客にアプローチするようなコンテンツマーケティングの施策は、AARRRでいうところのAcquisitionの位置付けの施策であるため、そもそも最終的なRevenueに至るまでに時間がかかります。SEOやコンテンツマーケティングで成果が出せるまで、予算やリソース切れにならないよう、社内合意を得ておく必要があります。グロースハックでは、それを体系化することで合意を得やすくしていると考えることもできます。うまいやり方だなと思います。

SMS社のグロースハック的SEO体制

当社GinzaMetricsの導入企業で、以前このBlogでもインタビューさせていただいたSMS社は、このグロースハックに近いSEOの体制作りをしているように思います。

SMS上東氏
SMS社 医療事業本部 メディア企画部 上東 卓哉氏

ウェブサイト担当が、エンジニアやデザイナーなどと連携を取りながら、課題に対してスピーディに手を打ち、高速でPDCAを回すという運用方法です。ウェブサイト担当は、成果を高めるために業務範囲にこだわらず必要な施策を決めていきます。施策の実装時は、エンジニアなどとも直接、技術的仕様も含めて指示をすることになるため、幅広い知識が必要になり負荷も高くなりますが、改善スピードは上がります。

SMS社の場合、元々エンジニアはアウトソーシングしていたようですが、外注では要件定義書の作成などに時間がかかりスピード面で課題を感じ、開発の内製化に踏切られました。SEOは、開発を内製化したからといって、すぐに最終成果が出るとは限らないため、目先の収益だけを考えていてはできない決断だったと思います。結果として、この開発内製化によりPDCAのスピードアップと成果につながっています。

成果を出すために業務範囲にこだわらず小さなチームで改善/学習サイクルを高速に回す、まさに、グロースハックの考え方に近いマーケティング体制だと思います。

※SMS社のインタビュー記事
「SEOの成果を出すためのチームを作りサービスを育てる」ナース人材バンク上東氏へのインタビュー

※SMS社のセミナー登壇資料(リンク先3つ目の資料)
OPEN SEOセミナー資料「成果を出し続ける戦略的インハウスSEO」

※グロースハックやリーンスタートアップの考え方はこちらの書籍も参考になります。

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コンテンツマーケティング戦略と方針、コンテンツ制作体制について

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