Web制作会社が主導するSEOで、Eコマースの収益を2.5倍に増やした具体例

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SEOJapanさんのブログで「SEOでEコマースの収益を2倍に増やした具体例」というエントリーを以前見て、まっとうな良い進め方だなあと思っていました。

と同時に、似たようなSEO業務の流れ(Web制作会社が主導)で、売上を2.5倍くらいに増やしたコマースサイトを思い出し、やはりあの時のSEO業務の流れは結構妥当だったんだなとも思いました。

この記事はシェアされるだろう!と思うも、私が思うほどシェアされず、個人的になぜだろうと感じていました。

それからしばらく過ぎ、SEOコンサルの辻さんが、Twitterでこの記事に対して言及していました。

「いい記事だなあ。これが出来る人は少ないと思いますが……」

EコマースのSEO

あれ?この流れができる人って少ないの!?

そうしたら、当時の流れはきっと参考になるだろう、ということで、
Web制作会社が主導するSEOで、Eコマースの収益を2.5倍に増やした具体例 をまとめます。

対象サイトと登場人物

・対象サイト:某ブランド(メーカー)の公式コマースサイト。有名なブランドです。

・登場人物
 ・某ブランド(メーカー)のコマース担当・ウェブ担当 (以下、ブランド担当)
 ・そのコマースサイトを制作/運営するWeb制作会社 (以下、制作担当)
  ・Web制作会社の社内にSEOに詳しい人はいない。
  ・Web制作会社にGinzametricsをご利用頂いている。
 ・Ginzamarkets清水 (以下、私)

・やり取りの流れ
 ・ブランド担当 ⇔ 制作担当 (定例MTGなどで、SEO含めウェブ全般のやり取り)
 ・制作担当 ⇔ 私 (たまにMTG、メールやり取り)
  ※ブランド担当と私は、直接会うことはありませんでした。

某コマースサイトでのSEOの成果

監視対象としたキーワードはビッグワードやブランドワードも含め数百で、そのキーワード経由の売上は2.5倍になりました。

細かく見ると、メインの商品名を含む掛け合わせキーワード(100ワード弱)の平均順位は、
18位→11位(青線が当該サイトの順位)になりました。
ロレックスの例で言うと、「ロレックス 通販」「ロレックス 中古腕時計」といったようなキーワードです。

ユーザーが決めうちで探しており、また検索ボリュームの比較的多いワードも順位改善したため、売上げも大きく伸びました。

(黄色、黒、赤の順位のグラフは、当該ブランドも扱っている大手コマースサイトです)

メイン商品名含む検索順位の推移

商品ラインナップを含む掛け合わせキーワード(50ワード程度)の平均順位は、
30位→14位(青線が当該サイトの順位)になりました。
ロレックスの例で言うと、「デイトナ 時計」「サブマリーナ ヴィンテージ」といったようなキーワードです。

こちらも大きく平均順位を改善させ、当初は大手コマース2サイト(黒線、黄色線)よりかなり順位は下でしたが、着実に改善を重ね、黒線は抜きさり、黄色線も射程圏内です。

商品ラインナップ名含む検索順位の推移

この2つのグラフを見ても、ある日突然順位が良くなったのではなく、じわじわと平均順位が良くなっていることがわかると思います。

SEO業務としてやったこと

「SEOでEコマースの収益を2倍に増やした具体例」記事の流れにできるだけ沿った形で、実際にやったことをまとめます。
以下、パート1、2や、A〜Eは、既述の記事内に書いてある流れです。

また、その某ブランドの名前を出すことができないので、ロレックスさんを例に出して、説明します。

パート 1: SEOのアクティビティを管理する

A. 状況を厳格に評価する

当初ブランド担当の方は、ビッグワードだけにこだわっていました。
ロレックスさんで言うと、「腕時計」「高級腕時計」で1位になりたい!といった感じです。

制作担当の方は何とかしなきゃ!頑張ろうと思うのですが、
私としては正直無理だなあと思い、ビッグワード以外で検索ワードで、改善余地があるものを調べていました。

B. 活用可能なトレンドを特定する

制作担当の方はSEOに詳しくないも、昔どこかできいたことのある断片的な知識を持っていました。

「やっぱりリンクを買う必要あるのでは!?」
「キーワード密度って何%くらいがいいんですか?」
「meta keywordってたくさん入れる方が入れていいんですよね!」

こういう状態でしたので、制作担当の方と私とで、まずは認識を合わせました。
titleタグは大事です、全画像のページはきついです、消費者が検索するキーワードを意識しましょう、など。

ちなみに、マニアックな確認をしたわけではなく、GoogleのSEOスターターガイドの中で、特に基本的な部分を中心に認識合わせをした程度です。

C. 戦略を策定する

非常にシンプルな方針案を私から伝えました。

「某ブランドを探している決め打ちユーザーを、他サイトに取られないようにしましょう」
というものです。

ロレックスさんを例にして言うと、「ロレックス 時計」、「ロレックス 通販」、「サブマリーナ」のような、ブランド名の掛け合わせワード、ブランドシリーズのキーワードのように、明らかに自社商品を探しているユーザー狙いです。

こういったキーワードは、このブランドの公式コマースサイトが上位表示されておらず、
楽天さんのような大手サイト、アフィリエイトサイト、ニッチ専門コマースサイトに取られてしまっていました。

このことを制作担当の方からブランド担当の方に説明すると、かなりビックリしていたそうです。

そんなの普通気づくだろう!と思うかもしれませんが、事実このようなワードでは1ページ目にさえ表示されず、もちろんトラフィックも全然ありませんでした。
ブランド担当の方は、ビッグワードで頭がいっぱいで、「ロレックス 時計」、「ロレックス 通販」みたいなワードでは、自社が1以下2位表示されているだろうと思い込んでいたそうです。

この方針は、もちろん即採用されました。

D. ユーザーの意図を解明する

(例ですが)「ロレックス 通販」といった方は、スウォッチでもオメガでもなく、ロレックスを探しています。
ユーザーによっては、買う気なのか、だた気になったのか、価格を見たいだけなのか、違うと思いますが、その細かな背景分析はそれ以上せず、
ロレックスを探しているユーザーに対して、ロレックスの公式サイトの情報をちゃんと見てもらおうとしました。

E. 考えて、行動して、計測して、また、行動する

『大きな、時間のかかるプロセスではなく、小さな、焦点を絞った、反復的なプロセスを構築するべきである。加えた変更が効果的だった場合、変化をさらに大きな規模で実施する。思ったほど効果が高くなかった場合、規模を縮小 – またはその取り組みを中止する。』

「SEOでEコマースの収益を2倍に増やした具体例」エントリーにある、この内容を地でいくような取り組みを進めました。

最も避けたかったのは、当たるか外すか確率のわからない一発ホームランを狙い、それを外すことです。
かけた時間と工数が無駄になるというのもありますが、ブランド担当と制作担当(クライアントと制作会社)とのこれまでの信頼関係に、リスクを与える可能性のあるやり方は避けた、といったところでしょうか。

また反復性のない方法は避け、実施結果がうまくいったとしてもうまくいかなかったとしても、経験を通じたノウハウとして蓄積できる形を目指しました。このサイト以外にも、多数のクライアントサイトを抱えていたため、そちらへの横展開を進められるようにしようという意図です。

大まかには、以下のように徐々に範囲と内容を広げていきました。

・トップページのtitleを変更
 → 効果を見る → 効果をブランド担当に報告する
 ※このタイミングで、titleなどは制作担当が自由に修正してよい形で、ブランド担当と握った

・特定ディレクトリ配下にtitle変更作業を横展開
 → 効果を見る → 効果をブランド担当に報告する

・他のディレクトリへの更なる横展開 & 特定ディレクトリ配下にてh1など修正
 → 効果を見る → 効果をブランド担当に報告する

・特定ディレクトリ配下ページにて、画像コンテンツを画像+テキストに修正
 → 効果を見る → 効果をブランド担当に報告する

・特定ディレクトリ配下ページにて、新規にテキストコンテンツを検討/追加
 → 効果を見る → 効果をブランド担当に報告する

・新規コンテンツの拡充(SEO以外の目的と、タイミングとして合致したため実施)
 → 効果を見る → 効果をブランド担当に報告する

もちろん、実施するも、効果が出たかどうかよくわからない/何とも言えないものもありましたが、
ちょっと試して、効果を見て、うまくいったら横展開を繰り返した格好です。

パート 2: クライアントの管理

A. 信頼を勝ち取る

ブランド担当に信用してもらうには、早期に、小さくてよいから成功事例を示すことだと思っていたため、1ページだけtitleを修正しました。(いきなりトップページに手をつけるとは思っていなかったため、私としては驚きましたが)

ごちゃごちゃ考えて結果として1ヶ月何もしないよりも、まずは1ページtitleを直す。
クライアントは最初は半信半疑でしたが、これだけで順位が良くなったため、これをきっかけにブランド担当も前向きになっていきました。

当初は、ユーザーが目にするクリエイティブに手をつけるなんてけしからん!という感じだったブランド担当も、
最後の方には、やっぱテキストの方が読みやすいところもあるよね、イメージだけじゃなくって説明(テキスト説明)が必要な部分もあるよねと、制作担当の方が言うことにかなり耳を傾けてくれるようになっていたそうです。

B. データをシンプルに説明する

ブランド担当 ⇔ 制作担当 の定例MTGでは、必ずSEOの効果/状況のレポートを提出していたそうです。(Ginzametricsの画面をそのまま見せていた(画面をそのままキャプチャ)そうです)

ただ最初は数十ワードで、キーワード毎のレポートを見せており、成果をうまく説明できていませんでした。(結局ビッグワードや上位ワードだけを見ている状態)

こうなることは想定範囲だったこともあり、私が手元で当初から数百ワードをチェック対象とし、それを意味のあるキーワードでグルーピングし、競合比較をしていたのですが、その形の数字に変えたところ、ブランド担当に施策の効果や状況を説明しやすくなりました。

キーワード毎に上がった下がったとやっていても収拾がつきません。
意味のあるグループ毎に、この領域に対して施策を講じたから、このキーワード群の順位が良くなったか見る、そういった効果報告の形に変えていきました。

自社のトラフィックや売上げ増のデータもありましたが、ブランド担当が特に大きな関心を示したのはキーワード順位の自社/競合比較です。
「XXXサイトを抜かすぞ!」は合い言葉だったようです。
順位だけを見るのは本質ではないかもしれませんが、わかりやすくて、ブランド担当の気を引いたのはキーワード順位の自社/競合比較でした。

C. 正当化は逆効果

当初ブランド担当の方はビッグワードだけにこだわっており、それは制作担当の方にとっての、ちょっとした悩みのタネになっていました。

ロレックスさんで言うところの「腕時計」「高級腕時計」で、1位になるのは厳しいと思っていましたが、その難しさをブランド担当に一生懸命に説明したところで、何もいいことはありません。

私から制作担当の方にアドバイスしたのは、言われたビッグワードはやれることはやりつつも(そのキーワードをターゲットワードとして新規ページを作ったりとか)、
それ以外の提案や対応も並行して進めましょう、打合せではそちらの効果も示しましょう、ということです。

微修正を積み重ねることで成果が出てくると、いつのまにかブランド担当もビッグワードへのこだわりは薄れていきました。

正当化とは違いますが、報告はきちんと行うようにしました。
言い方は適切ではないかもしれませんが、「やってる感」は大事なんだなと、私自身も理解しました。

D. 協力する

この制作会社の方が良かったのは、このブランドの制作担当の方以外にも、他のサイト担当のディレクターさんなどもSEO施策の試行錯誤を行っており、うまくいった/イマイチだったというのを、不定期ながら共有していたことです。
Aサイトでうまくいったことを、じゃあBサイトCサイトの担当もやってみよう、といったことを行っていました。

E. 取り組みを始める前に不明な点をハッキリさせる

もちろんブランド担当としては、売上げを増やすことが大事ではあるものの、
自社ブランドの情報を探すユーザーに、自社サイトの情報をきちんと伝える≒きちんと検索結果で見つけられるようにすること(上位表示されること)、の重要性は、活動初期に認識合わせを行いました。

まとめ

ブランドワードで自社表示されないなんて、レベルの低いサイトの話しじゃないか、そう思うかもしれません。
もちろん、サイトや業界、組織によって、現状が違えばやるべきことのレベル感も変わってくると思います。

ただこの事例で良かったことは、

『大きな、時間のかかるプロセスではなく、小さな、焦点を絞った、反復的なプロセスを構築するべきである。加えた変更が効果的だった場合、変化をさらに大きな規模で実施する。思ったほど効果が高くなかった場合、規模を縮小 – またはその取り組みを中止する。』

を意識して、クライアントであるブランド担当を巻き込み、制作会社主導で実際にSEO施策を通じて成果を出したことではないでしょうか。

私個人としては、クライアントサイトのSEO/自然検索経由のトラフィック増に、より積極的に関与する今後Web制作会社が増えていくはずだ(求められることも増えるはずだ)と思っているだけに、
(SEOに詳しい人が制作会社内にいないにも関わらず!)実際にWeb制作会社主導で、SEO施策がうまくいってトラフィックや売上が増えたことは良かったです。

なぜかあまりシェアされなかった「SEOでEコマースの収益を2倍に増やした具体例」記事ですが、一読の価値&日々の業務に反映させられる部分は多いと思います。

追伸:上述のSEO成功事例め、Web制作会社のSEOに対する取り組み方をまとめた資料「Web制作会社のためのSEO実践ガイド」です。
   http://marketing.ginzametrics.com/acton/media/8336/ebook-seo-guide-for-web-creator ← 資料ダウンロードはこちら

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