コンテンツマーケティング戦略と方針、コンテンツ制作体制について:コンテンツマーケティングの全体像(3)

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この秋、セールスフォース社のビジネス&ソーシャルのブログサイト※で「消費者行動の変化に伴い台頭するコンテンツマーケティング」というトピックの連載を持たせて頂きました。

その連載のGinzaブログへの転載許可を得たため、こちらにもその内容をアップします。

第3回目は、コンテンツマーケティング戦略と方針、コンテンツ制作体制についてです。

広告主ではなくパブリッシャーとしてのコンテンツ発信

第2回では、コンテンツマーケティングで用いられる『コンテンツ』について説明しました。今回の記事では、そのコンテンツ作りにおいて大切なこと、つまりコンテンツ戦略や方針を、またそのコンテンツ制作体制について説明します。

コンテンツマーケティングのためにはコンテンツ制作が必要です。
多くの企業では、これまでもインターネット上に多くのコンテンツを制作してきました。企業の公式サイトや商材/サービス毎のサイト、コマースサイトやサポートサイトなど。また数多くのキャンペーンや広告クリエイティブも制作してきたことでしょう。
これらも、もちろん「コンテンツ」です。

しかし、コンテンツマーケティングを行う場合の「コンテンツ」は、その内容や作業者、その前段たるマーケティング上の戦略や担当者のマインドセットなど、多くの点でこれまでのコンテンツ制作とは異なります。

まずは、具体的コンテンツ作成に取りかかる前に必要な3つのことを説明します。

コンテンツを作り始める前に検討すべき3つのこと

コンテンツを作り始める前に検討すべきは、コンテンツが重要であるという社内理解と判断、「出版者」であるとのマインドセット、コンテンツマーケティングの目的とターゲット設定、の3つです。

コンテンツが重要であるという理解と判断

これからはコンテンツ/コンテンツマーケティングが重要だ!と一担当者として強く思ったとしても、それだけでは会社としてのマーケティング活動は変わりません。

コンテンツマーケティングは、それ自体は施策ではなく、SEOやメール配信、Webページ制作や動画コンテンツ制作などを包括的に統括する概念でありマーケティングの方向性です。そのため、個々の担当者がバラバラに動いては成果につながりません。

コンテンツ/コンテンツマーケティングが重要であるという、会社としての理解と判断が必要になります(判断に合わせた活動の予算化も必要です)。

Econsultancyの調査レポート「Content Marketing Survey Report 2012」によると、企業マーケティング担当者の90%以上はコンテンツマーケティングを行っていると回答し、また同じく回答者の90%以上が、今後1年でコンテンツマーケティングはより重要になると考えています。

※参考:Content Marketing Survey Report 2012

当調査の回答者は、BtoCビジネスに関連する方が39%を占め、BtoBに関連する方は38%である(残りはその両方)ため、BtoCでもBtoBでもコンテンツマーケティングの重要性が認識されていると言えます。

「広告主」ではなく「パブリッシャー」であるとのマインドセット

コンテンツマーケティングを行う上で、「広告主」ではなく「パブリッシャー」(出版者)であるというマインドセットが極めて重要になります。編集者と読み替えてもよいでしょう。

私個人の感覚としては、企業のマーケティング担当者にとって、このマインドセットの転換こそ、最も大きなチャレンジだと思います。

多くの企業は自社商材が売れることを目標としています。そのため企業のマーケティング担当は、極端な言い方をすれば、「企業視点で伝えたい情報」をいかに定めた消費者層に届け、いかに興味喚起し、購買に向けた後押しをするか、を目的とした仕事をしていると言えるでしょう。

一方「パブリッシャー/出版者」は、定めた特定領域においてどうありたいか(定めた消費者層にどのように見られたいか)を定め、「その消費者にとって有用で消費者が求める情報」を発信します。

例えば、Colgateの歯に関するポータルサイト「Oral and Dental Health Resource center」の場合、「歯に関する情報だったらOral and Dental Health Resource centerだよね」、と消費者に認知/理解してもらうべく、「口臭」、「糖尿病とオーラルケア」、「歯科矯正」、「歯科検診」など、歯に関連する消費者の悩みや気になることについての情報発信(消費者が必要とする情報)を行います。

「広告主」ではなく「パブリッシャー/出版者」である必要性を強く感じさせられた、私の個人的な経験を紹介します。

過去、Webマーケティングの専門メディアにいくつかの連載記事を書かせて頂いたことがあります。その際、当該メディアの編集長に次のように言われました。

 「できるだけ商売っ気を出さないでください(≒自社商材のアピールをしない)」
 「読者にとって有用で専門性の高い内容を書いてください」
 「それが結果として、業界内でのあなたの会社/あなたの評判にもつながり得ます」

「消費者にとって有用な情報」と言われても始めのうちはピンと来ませんでしたが、「自社商材のアピールをするな」と言われれば、さすがに自身の考え方を変えざるをえませんでした。

長らく自社のマーケティングに携わってきた方にとっては、少々極端ではありますが「自社商材のアピールを(直接的に)しない」という考え方がちょうどよいかもしれません。

コンテンツマーケティングの目的とターゲット設定

コンテンツマーケティングを通じてどのような状態になりたいのか、何を達成したいのか、どの領域で行うのか、どのような層の消費者をターゲットと位置づけるのか。
具体的なコンテンツ制作に取りかかる前に、コンテンツマーケティングの目的を定め、社内の関係者で認識を合わせるのが良いでしょう。

目的を定めれば、その達成度合いを確認する指標も変わります。
例えば「潜在顧客層との接点の増加とその定着化」をコンテンツマーケティングの目的とする場合、確認する指標はコンバージョン数やCVRではありません。
「Content Marketing Survey Report 2012」によると、コンテンツマーケティングのパフォーマンスを計る指標としては、サイト訪問者数(88%)、訪問あたりPV数(76%)、PV(71%)、サイト滞在時間(67%)などが用いられています。

ターゲット設定としては、潜在顧客(完全潜在層、自身の課題やニーズを顕在的に理解している層など)、既存顧客の他に、自業界に一定の影響を与える人を意識する場合もあります。
自業界に一定の影響を与える人とは、メディア、業界専門ライターやジャーナリスト、特定領域で有名なブロガーなどです。

例えば、ブライダル総研が毎年実施/発行しているレポートに「結婚トレンド調査」がありますが、これは自業界に一定の影響を与える人をターゲットにしたコンテンツでしょう。
※参考:ブライダル総研 調査・研究データ

一般の消費者(現在/先々結婚をする男女)がこの調査レポートをそのもの見ることはあまりないはずです。
このレポートを必要とするのは、結婚業界のライターやジャーナリストなどであり、自身が記事などを作成する際にこの調査結果を参照/利用します。その結果、第三者に作成されたコンテンツを通じて、潜在顧客に対する自社認知度合いの拡大につながります。

一見すると、BtoC企業が業界レポートを出す意味合いは薄く感じるかもしれませんが、ターゲット設定によりコンテンツ作成の意味合いも変わります。

コンテンツは誰が制作するのか?コンテンツ制作体制

既述の3点について組織内で明確化した後に、コンテンツ制作の活動に移ります。その際の主たる論点は、どのようなコンテンツを、誰が作るのかです。

作成コンテンツの一例は、第2回記事『コンテンツマーケティングの「コンテンツ」とは?』で説明したため、誰がコンテンツを作るのか?に絞って説明します。

誰がコンテンツを作るのか?

コンテンツマーケティングを行うにあたって、コンテンツ制作に最終的な責任を持つ編集責任者を任命する必要があります。編集責任者のもと、自社が保有する独自の専門知識や情報を活用し、マーケティング部門を中心とした活動を行います。

様々なコンテンツを継続的に制作しようとする場合、自社のマーケティング部門だけで行うには限界があります。そこで選択肢として上がるのが、コンテンツ制作のアウトソースです。そのアウトソースもアメリカでは多様化しており、次のような方法があります。

■元新聞社や元出版社の社員や契約フリーライターの活用
特にアメリカにおいては、新聞社や雑誌出版社の経営状況の悪化から、社員や契約ライターをレイオフすることが増加しています。そのような人はコンテンツ制作能力や人脈に秀でた人も多いため、自社のコンテンツマーケティング担当として採用したり、外部の契約スタッフとして活用するケースが増えています。

■ブランドジャーナリストの採用
上述の例と似たケースとして、ブランドジャーナリストを採用すべきであるという意見もあります。ブランドジャーナリストとは、社内ジャーナリストとも言える存在です。

ジャーナリストはライターとも異なる特有の経験と訓練を受けているため、次のようなメリットがあると言われています。

・人々が興味を持つような情報を作るために、情報を再構成する訓練を受けているため、ストーリーを作ることに長けている。
・誰にでも理解しやすいように、物事を単純化して表現することに長けている。
・事実と調査を重視するため、業界内での信用を得られる情報を発信しやすい。

■コンテンツスタジオの活用
企業のコンテンツマーケティングを支援する、コンテンツスタジオと呼ばれる新しいエージェンシーが増えつつあります。
Faster Times Media社(http://www.fastertimesmedia.com/)は2011年に設立されたコンテンツスタジオであり、企業のコンテンツマーケティングを支援しています。編集者やジャーナリスト、ライターや動画クリエイター、小説家などのコンテンツクリエイターのネットワークを持ち、British Airwaysなどのコンテンツマーケティングの支援を行っています。

■メディアとのパートナーシップ
最も新しい選択肢として、ブランド企業がメディア企業とパートナーシップを組み、コンテンツマーケティングを行う動きも出始めました。
AdAge記事「Five Questions With J&J's Kim Kadlec」によると、ジョンソン&ジョンソンはタイム社と組み、パイロットグログラムを立ち上げるようです。タイム社は、消費者がいかにコンテンツを消費し、それに対してどのような感情を抱くか、に関する多くのリサーチを行い知見を収集しているため、そのノウハウをジョンソン&ジョンソンが活用する格好です。
そのプログラムを通じて、消費者を喚起し動かすような、より良いマーケティングコンテンツを制作するためにメディアと協同できるかどうか、今後検証を進めます。

ジョンソン&ジョンソンとしては、メディアとの関係性、つまり「広告主」と「媒体」の関係を超え、コラボレーションによる相互の学び合いを通して、マーケティング活動を更に進化させることを狙います。

まとめ

この記事では、コンテンツを作り始める前に検討すべきこと、またコンテンツ制作の協業先について説明しました。今回、是非覚えておいて頂きたいのは次の点です。

•コンテンツマーケティングを行うにあたっては、コンテンツが重要であるという会社としての判断が必要。
•「広告主」マインドでは企業目線の情報発信になりがち。「パブリッシャー」であるとのマインドの転換が必要。
•コンテンツマーケティングの目的とターゲット設定を行う。

前回、今回と、コンテンツマーケティングの「コンテンツ」戦略やコンテンツそのもの、方針や制作体制について説明しました。ただそのコンテンツも消費者の目に留まらなければ制作する意味がありません。
次回は、制作したコンテンツを消費者にどう見つけてもらい、どう広めてもらうかを説明します。

【消費者行動の変化に伴い台頭するコンテンツマーケティング:関連ブログポスト】
・第1回:大企業のマーケティングコミュニケーションのデジタルシフト
・第2回:コンテンツマーケティングの「コンテンツ」とは?
・第4回:コンテンツを消費者にどう見つけてもらい、どう広めてもらうか?
・第5回:消費者とどう繋がり、どう関係性を強めるか?

 

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